七月上旬の新刊

○哲学・心理学
藤野昭弘・前田義郎訳『医療倫理の歴史 バイオエシックスの源流と諸文化圏における展開』 ナカニシヤ出版

名島潤慈著『夢と浄土教 善導・智光・空也源信法然親鸞・一遍の夢分析風間書房

○歴史
夏目琢史著『アジールの日本史』同成社

石鍋真澄著『ありがとうジョット イタリア美術への旅』吉川弘文館

ビー・ウィルソン著『食品偽装の歴史』白水社

岩崎稔上野千鶴子北田暁大著『戦後日本スタディーズ1 40・50年代』紀伊国屋書店

久野治著『改訂 古田織部とその周辺』鳥影社

ピーター・バーク著『歴史学と社会理論【第二版】』慶應義塾大学出版会

○社会
京都市景観・まちづくりセンター編『京町家の再生』光村推古書院

マリヤンスキー、ターナー著『社会という檻 人間性と社会進化』明石書店

成田稔著『日本の癩(らい)対策から何を学ぶか』明石書店

井上俊・伊藤公雄編『文化の社会学世界思想社

太田好信著『民族誌的近代への介入【増補版】』人文書院

○医学
千葉百子著『がんの世界地図』丸善

○芸術
フィリップ・フック著『印象派はこうして世界を制した』白水社

Y・ブリュナメール著『ルネ・ラリック―モダン・ジュエリーの創始者創元社

○児童
ルカ・ノヴェッリ著『ガリレオ 天才!?科学者シリーズ』岩崎書店

滝田よしひろ著『ガリレオ 小学館版学習まんが人物館』小学館

○新書
べルナール・フリューザン著『ビザンツ文明 文庫クセジュ白水社

『人権の彼方に』

人権の彼方に―政治哲学ノート

人権の彼方に―政治哲学ノート

買った。原題は「mezzi senza fine」。「目的なき手段」といったところ。邦題の「人権の彼方に」は収録論文のひとつ(ちなみにサブタイトルの政治についての覚え書きも同様)。イタリア語ではそれぞれ、「Al di la' dei diritti dell'uomo」「Note sulla politica」本書は、ギー・ドゥボールの憶い出に捧げられていて、彼の著作を論じた「『スペクタクルの社会に関する注解』の余白に寄せる註釈」が収録されている(なんていうか反省的なタイトルだ)。これで個人的にアガンベンは残り『バートルビー』になった(はずだ)。この本は一度古本屋に出ていたのを躊躇している。そして予想通り最後に残った。厳密に言えばちくま学芸文庫で購入した、『スタンツェ』の初版(ありな書房版)も持ってないがこの本も複数店舗で見たことがある(どこもいい値段だ)。本書に戻ると、目次は以下のとおり。



〈生の形式〉
人権の人権の彼方に
人民とは何か?
収容所とは何か?


身振りについての覚え書き
言語と人民
スペクタクルの社会に関する注解』の余白に寄せる注釈


主権警察
政治についての覚え書き
この流謫(るたく)にあって―イタリア日記 1992-1994

翻訳者あとがき
人名索引

解題=「例外状態」と「剥き出しの生」西谷修

『ドゥイーノ悲歌』

ドゥイーノ悲歌 (1978年) (筑摩叢書)

ドゥイーノ悲歌 (1978年) (筑摩叢書)

買った。各悲歌のあいだに訳者の解説を差し挟んでいる。買うつもりなんてなかったんだけど、第一悲歌の最初の数行で心を奪われてしまった。ちなみに先日のジロデイタリアでこのドゥイーノ城の近くを通ったけど、日本人の解説者はこの詩のことは知らなかったようだ。

『書物の歴史』

書物の歴史 (文庫クセジュ)

書物の歴史 (文庫クセジュ)

買った。すでに何度かお目にかかっていたが今回「読みたいなあ」と思っていたところでタイミングよく購入。著者は本書を次の文章で閉じている。

いずれにしても、今日あんなに栄えているジャンルである先走りの小説、あの《科学小説》の著者たちは異口同音に予言している。―現在われわれが知っているような形の《書物》は、紀元2000年には、もっと実用的な知識伝達具によって取って代わられるであろうと。しかし、要するに、それは書物に対するまた一つの毀損にすぎないだろう。書物は4万年ないし5万年にわたるその長い歴史の上で、すでに多くの毀損を受けて来たのである。

原著が書かれたのは1954年。すでに紀元2000年から10年近い年月を経た。書物の終わりというテーマは、そもそも書物というメディアをどういう形で定義するかによるよね。

『こころの旅』

こころの旅 (ランティエ叢書)

こころの旅 (ランティエ叢書)

買った。存在は知っていたが、これまで実物はみたことがなかった。彼女の著作からのアンソロジーになっている(楽な仕事だ)。」ちなみに彼女を特集したNHKの番組は「イタリアへ・・須賀敦子 静かなる魂の旅」であった。どちらもなんとも言い難いタイトルである。あと「こころの旅」というタイトルは神谷美恵子↓コレクションのなかに同タイトルがあった。

『神谷美恵子』

神谷美恵子 (Century Books―人と思想)

神谷美恵子 (Century Books―人と思想)

☆☆★★★
読んだ。まずは彼女の生涯をお勉強しようかと読んでみたものの、彼女をいわゆる「偉人」として描こうとする著者の主観的見解―そういうスタンスはわからなくはないが度が過ぎる、―が鼻につくので、途中で第三章で力尽きた。このシリーズはこれまでかなり信用していたのだが。同時に買った主著『生きがいについて』から読むことにする。

これも読みたい!。

生きがいについて (神谷美恵子コレクション)

生きがいについて (神谷美恵子コレクション)

こころの旅 (神谷美恵子コレクション)

こころの旅 (神谷美恵子コレクション)

神谷美恵子日記 (角川文庫)

神谷美恵子日記 (角川文庫)

神谷美恵子の世界

神谷美恵子の世界

ハリール・ジブラーンの詩 (角川文庫)

ハリール・ジブラーンの詩 (角川文庫)

本、そして人 (神谷美恵子コレクション)

本、そして人 (神谷美恵子コレクション)

会うことは目で愛し合うこと、会わずにいることは魂で愛し合うこと。?神谷美恵子との日々

会うことは目で愛し合うこと、会わずにいることは魂で愛し合うこと。?神谷美恵子との日々

自省録 (岩波文庫)

自省録 (岩波文庫)