『ウンベルト・サバ詩集』など

ウンベルト・サバ詩集

ウンベルト・サバ詩集

イタリアの詩人たち

イタリアの詩人たち

コルシア書店の仲間たち

コルシア書店の仲間たち

 コルシア・デイ・セルヴィ書店をめぐって、私たちはともするとそれを自分たちが求めている世界そのものであるかのように、あれこれと理想を思い描いた。そのことについては、書店をはじめたダヴィデも彼をとりまいていた仲間たちも、ほぼおなじだったと思う。それぞれの心のなかにある書店が微妙に違っているのを、若い私たちは無視して、いちずに前進しようとした。その相違が、人間のだれもが、究極においては、生きなければいけない孤独と隣りあわせで、人それぞれ自分自身の孤独を確立しないかぎり、人生は始まらないということを、すくなくとも私は、ながいこと理解できないでいた。
 若い日に思い描いたコルシア・デイ・セルヴィ書店を徐々に失うことによって私たちは孤独が、かつて私たちを恐れさせたような荒地ではないことを知ったように思う(p221)。

荻窪と高円寺で電撃的に。一目見て、あぁ美しいとそれを愛でることは簡単だ。でも少しでも理解しようと近づこうとすると、その道のりはとても険しい。それも絶望的に険しい。まるで一流品のやきもののように。それでもなお、というところに立ってようやく、なにかが始まる。