『マルクスと批判者群像』

☆☆☆☆★
読んだ。マルクスのなかでマルクスを批判的に検討する。このプロジェクトがアクチュアルな時代があったのだ。1848年の革命期においてマルクスエンゲルスがその先行者たちとの理論的あるいは実際的な対立を経て最後に『共産党宣言』を執筆するまでを歴史的に描く。たたき上げの運動者と、頭の良い学生たちとの対立があり、あるいは女性問題があり、変転する党派抗争があり。正直かなりマニアックな話にもかかわらず、この本が読みやすかったのは、この本が書かれた当時まだ遠い過去ではなかった学生運動の経験がこの歴史記述の下地にあり描かれているからではないかと思ったり。正直1968年に生まれていなかったぼくには想像することしかできないのだが、若者たちががんばっている姿はいつの時代も美しい。

○これも読みたい

1848年の社会史―ウィーンをめぐって

1848年の社会史―ウィーンをめぐって

ヘーゲル左派と初期マルクス

ヘーゲル左派と初期マルクス

向う岸からの世界史―一つの四八年革命史論 (ちくま学芸文庫)

向う岸からの世界史―一つの四八年革命史論 (ちくま学芸文庫)

モーゼス・ヘスと観念弁証法の諸問題 (社会科学ゼミナール 56)

モーゼス・ヘスと観念弁証法の諸問題 (社会科学ゼミナール 56)