『ひかりのまち』

ひかりのまち (サンデーGXコミックス)

ひかりのまち (サンデーGXコミックス)

☆☆☆☆★
読んだ。個人的には著者の作品のなかで一番好き。一つの町を舞台に、複数主人公がそれぞれ、知らぬままにかかわりあって事件が進んでいく、というストーリ構成は伊坂幸太郎にも見受けられる。この構成では、それぞれの事件が実は密接に関わっていることは、唯一、作者(そして読者)のみが知ることになる。たしかにぼくたちは、喫茶店で珈琲を飲みながらあるいは病院で呼ばれるのを待ちながら、じぶんのすぐ近くにしかし自分のまったくしらないところで、別の人生や事件が起きていることを知る。しかしそれはわずかに知るばかり。決して交わることは無い。できることなら空に浮かんで、そんな無数の物語を眼下に眺めてみたい。この作品にはそんな欲望と通じるものがあるようなないような。