知の再発見双書 ラファエル前派 ヴィクトリア時代の幻視者たち

ラファエル前派:ヴィクトリア時代の幻視者たち (「知の再発見」双書)

ラファエル前派:ヴィクトリア時代の幻視者たち (「知の再発見」双書)

☆☆☆★★

いつもレイアウトがすてきな知の再発見シリーズ。疲れていて読む気力がないときにはこのシリーズに限る。また、このラファエル前派のように、ドキドキしながら未踏の領域に飛び込むときなどは、心優しき導き手になる。にわか知識を披瀝すれば、ラファエル前派は十九世紀イギリスを代表する芸術運動であり、ジョン・エヴァリット・ミレー、ウィリアム・ホルマン・ハント、ダンテ・ガブリエル・ロセッティの初期メンバーにくわえてアーツ・アンド・クラフツ運動のウィリアム・モリス、ラファエル前派をイギリス画壇の主流に押し上げたエドワード・バーン=ジョーンズ、オスカー・ワイルドサロメ』の挿絵が有名なオーブリー・ビアズリーがいる。代表作「オフェリア」がつとに有名なミレーは昨年Bunkamuraで展覧会が開催されたが前年ながらぼくは行きそびれた(公開期間を勘違いしてしまったのだ(猛省))。自然描写の精緻ぶりが評価されるラファエル前派であるが、個人的には人物の表情が無表情とは言わないがどこか重々しく、近寄りがたい印象を持っていた。これはどこかでみたような、と思っていたが、この本のカラーページの最後に、ラファエル前派の影響として映画『フランス軍中尉の女』のメリル・ストリープのカラー写真が掲載されていて、ああこれか、とうまく説明は出来ないが納得してしまった*1

*1:やぱりこれも根拠はないのだが映画『エリザベス』のケイト・ブランシェットの名前も挙げておこう