クリムト

クリムト

著者はオーストリア人の美術史家。クリムトの芸術活動の変遷を彼の伝記的側面にしたがって読み解く。とくにウィーン分離派のなかで彼が果たした役割について述べられている。面白いのは、彼の父親がクリムト等を扱った画商であり、著者自身もクリムトとの面識があった点だ。著者八歳のときに、クリムトが著者の家を訪れたと書かれていている。著者の父親は著者の描いた絵をみせて、「この子(著者)に芸術的な才がありますか」とクリムトに尋ねたそうだ。著者のいうところ、恥ずかしくて、クリムトの答えは覚えていないという。八歳児の絵を見せられてもクリムトとしては困惑するばかりだろう。親バカは、古今東西を問わず、ということか。