『崇高の美学』

崇高の美学 (講談社選書メチエ)

崇高の美学 (講談社選書メチエ)

☆☆☆☆★
読んだ。とても面白かった。バークからカントへと続く正統的な「崇高」概念を手際よくまとめてから、そこにジンメルの「山岳美学」とラスキンの「地質学の美学」を提示することで、近代哲学とは別様のあり方(「地上あるいは地下世界に存在するモノのしっかりした凝視から立ち現れる、物質的=肉体的な「崇高概念」の可能性」p112)を描き出す。繰り返し前の話題に戻ったり、しばしばまとめたりと、「美学」の初心者にも読みやすい。勉強になるのはもちろんのことながら、しかしそれ以上に印象的なのは、著者の石、山に対する著者の情熱。著者は実際に石をじっとみつめ山をながめつづけけることでこのように独創的な着想を作り上げるにいたったに違いない。あふれる愛情が行間からひしひしと伝わってくる。

○併せて読みたい

崇高と美の起原 (1973年)

崇高と美の起原 (1973年)

崇高と美の観念の起原 (みすずライブラリー)

崇高と美の観念の起原 (みすずライブラリー)

以上版違い。

判断力批判 上 (岩波文庫 青 625-7)

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判断力批判 下 (岩波文庫 青 625-8)

判断力批判 下 (岩波文庫 青 625-8)

判断力批判 上 新装版

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判断力批判 下 新装版

判断力批判 下 新装版

やはり版違い。